理 事 長 所 信
知多青年会議所 第50代理事長
髙橋 直之
【2024年度 スローガン】
夢を語れ
~知多青年会議所50周年のその先へ~
【基本理念】
一人でも多くの知多市民へのアプローチ、知多市への貢献
【基本方針】
・知多市のための活動
・組織のアップデート
・直接体験を大事にする
・メンバー個人のアップデート
・50周年の知多青年会議所、知多市の未来に繋がる事業に取り組みます
はじめに
「JCに入れば、『地域貢献』を具現化できるかもしれない」と思い、 私は知多青年会議所に入会しました。 私は元教師という肩書があります。小学校の時の体験や恩師との 出会いから、学校の先生になりたいという夢を抱き、受験勉強や中 間・期末テストを突破してきました。先日、高校の友人と会った際「金 八」と陰であだ名で呼ばれていることを初めて知りましたが、それく らい周りにも公言して「学校の先生になりたい」という強い意志を もっていました。今でも、「教育」や「人が育つ」ということこそが、この 世の中で最も重要であると確信しています。大学院まで進学し研究 に明け暮れ、夢を叶え、学校の先生になり、子どもたちと充実した 日々を過ごしていました。 そんな私が、教員を辞めて民間企業を経て便利屋を開業しまし た。その理由は、「社会の課題に気付いた以上、行動しないといけな い」と思ったからです。教員として、地域で働く中で、高齢化や多様な 社会に潜む課題に気付きました。やがて学校での授業よりも、自分 が社会に出てフィールドで社会課題に向き合いたいと考えるように なりました。叶えた夢を手放すのは勇気がいりましたが、過去よりも 未来を大事にしたいと考え、飛び立つことに決めました。 自分なりに考え、行動に移してみると多くの気付きがあります。「社 会」という場所や「みんな」という人は、やはりどこにも存在せず、そ れぞれの人が、それぞれの生活をする中で困りごとがあるというこ と。それぞれの課題は案外小さく、誰かが助けることさえできればど うにかなること。しかし、その「誰か」がいないから困っているという ことも分かりました。一人一人の役に立つことはできるが、社会課題 へのアプローチに仲間と共に立ち向かえないかとも感じていまし た。個人事業主だから仕方ないかとも考えていました。そんなタイミングで、知多青年会議所の存在を知りました。メンバーの生い立ち や仕事は異なるものの、「志を同じうするもの相集い」という言葉に 心躍りました。 そんな知多青年会議所にも課題があります。明るい豊かな社会 づくりをめざし、ボランティアや行政改革等の社会的課題に積極 的に取り組んでいる青年会議所の理念の下に存在する知多青年 会議所は今、存続の危機に直面しています。この原因を考え、自ら PDCADCA(P lanlan→DoDo→CheckCheck→A ction のサイクル) を回し、課題を解決していく必要があります。自らの危機ではありま すが、その力を発揮する場面であるともいえます。異なる価値観をも つ仲間と輝く個性が調和する未来を描く必要があります。 知多青年会議所は今年50周年を迎えます。先輩方が築き上げた 礎の上に今の私たちがあります。そして、知多青年会議所を未来へ つないでいく責任があります。そのためにすべきことは何か考え、行 動に移す力で期待したい未来を創り上げていきます。
50周年の知多青年会議所、知多市のために動きます!
青年会議所の存在意義について改めて確認すべく、日本青年会 議所HPを覗いてみると、その歴史は1949年「明るい豊かな社会の 実現を理想とし、責任感と情熱をもった青年有志による東京青年商 工会議所(商工会議所法制定にともない青年会議所と改名)」とあり ます。 1949年とは、つまり終戦4年後の混沌とした世の中であること、 「明るい豊かな社会の実現」とは、想像の域を超えませんが、経済の 復興や国家の再建を指すのでしょうか。いずれにせよ、今の知多青 年会議所には時代背景も、社会課題も当てはまりません。 そう考えるなら、今の知多青年会議所が戦後の混沌とした世の中 で「明るい豊かな社会の実現」を掲げる当初の目的を未だに掲げて いると考えるのであれば、今すぐにでも解散するべきです。私は強く そう思います。それでも、なぜ20~40歳までの現役世代が今日に集 まっているのか。惜しむべき、有り余っている筈のないお金と時間を 費やすのか。それは「令和」の「知多市」に潜在する「社会課題」に、 「英知と勇気と情熱をもった青年が立ち向かうため」です。青年会議所という世界にも通用する意識変革団体の一青年会議 所としての誇りをもち、知多市に潜むあらゆる社会課題に立ち向か います。「修練」「奉仕」「友情」の三つの信条のもと、より良いまちを めざし、社会課題に積極的に取り組んでいきます。知多市のために なる団体でなければ、知多青年会議所である意味はありません。知 多市にとってプラスになることであれば、そのスケールの大小は関 係ないと考えます
50周年の知多青年会議所、組織のアップデートを図ります!
青年会議所として、活動するにあたって、前提条件として自分とそ の周りを大事にするべきです。その根拠として、マズローの欲求階層 説(欲求5段階説)に触れて説明します。これは人が成長したり自己 実現を成し遂げたりする上で、重要な視点であり、教育分野、人材育 成分野の他、多岐にわたって取り入れられている考え方の1つです。 マズローの欲求階層説によると、階層の低い欲求が満たされた状 態でしか、高次の欲求は承認されません。「生理的欲求」が満たされ ていない状態では、その上に位置付く4段の欲求は実現されませ ん。つまり、「自己実現欲求」を満たすためには、その下の「生理的欲 求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」の全てが満たされている 必要があります。 青年会議所活動はどこに属する活動でしょうか。私は、上3つの階 層「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」が該当すると考えま す。その場合、青年会議所活動をするメンバーは「生理的欲求」「安 全欲求」が満たされている必要があります。「生理的欲求」は、生きて いくために必要な、基本的・本能的な欲求を指します。これらが満た されなければ生命の維持が不可能です。「安全欲求」とは、安心・安 全な暮らしへの欲求を指します。分かりやすくいうと、「安心して暮ら せる」ということです。 「生理的欲求」と「安全欲求」、そのどちらも生きていく上で最重要 となる欲求であるといえます。メンバー一人一人が会社の中で重要 なポストに、もしくは自身で独立して人生を背負っていることでしょ う。あなた無くしては、仕事が成立しないのです。だから、あなたが青 年会議所に入会しているのです。社会の課題に立ち向かう知多青年 会議所に所属するあなただからこそ、職場の要であり、職場の要で あるあなただからこそ、知多青年会議所で共に活躍するメンバーに 対して、示唆を与えることができるのです。だからこそ、自分自身を大 切にし、土台をしっかりさせた上で最高のパフォーマンスをする必 要があるのです。そして、知多青年会議所という場で成長した自分自 身がその能力を職場で発揮してこそ、青年会議所での運動の本当 の価値であるといえます。(図1 、2 参照) 家族に関しても。現役メンバーの半数以上が小さな子供がいる、 所帯染みた団体になりました。家族がいることで、青年会議所活動 に参加できないということがこれまでありました。今年は明言しま す。青年会議所活動を行うことでの家族の負担を可能な限り減らす 取り組みをします。例えば例会への家族の参加を推奨したり、家族と 共に参加することでメンバーのパートナーがワンオペ状態になるこ とを避けたりするような取り組みを増やします。これは社会課題への アプローチの一つでもあります。自分の近くにいる人の幸せを実現 させることができずに、社会課題へのアプローチといった都合の良 いことの実現は不可能です。知多青年会議所は2022年に育児世代 であるJCメンバーが家庭や仕事、青年会議所活動を平行しながらも 活躍できる子育て支援等を積極的に行なうロムを指す「育ロム」を 取得し、メンバーやその家族、青年会議所活動を支援する体制を整 えています。様々なライフステージにあるメンバーが活躍で きる組織環境の構築を通じて、誰もが活躍できる社会の実現を目指 します。 入ってしまえば当たり前に感じる青年会議所活動ですが、支えて くださっている家族や職場の方々がいます。事務局や運営に携わる 方々も然りです。皆さんの協力なくして青年会議所活動はあり得ませ ん。感謝の気持ちをもって、青年会議所活動に費やす時間やお金、 環境すべてを皆で活用していきます。
50周年の知多青年会議所、直接体験を大事にします!
コロナやそれに伴う活動の自粛は、それ以前から課題とされてい たコミュニケーションの希薄化や、コミュニティの自治活動の低下な ど、人々の分断をより色濃くしました。一方でZOOMやteams、スプ レッドシートといったオンラインツールが飛躍的に進歩し、合理的か つ効率的にコミュニケーションが図れるようになりました。オンライ ンツールの最大の功績は、どんな状況でも、何が何でも繋がること ができるようになったことだと思います。これは単なる利便性の向上 ではなく、緊急事態宣言下であっても、外出自粛を強いられたとして も、「仲間と繋がりたい」という人々の意志の強さを確認することがで きたのだと私は捉えました。 そう感じつつも、徐々に規制が緩和され、外出自粛要請や行動制 限のない日常が戻ってきた最近では、対面で会う仲間の表情から キャッチできる情報はやはりオンラインの比ではありません。 コロナ禍を経験した私たちは今だからこそ、直接体験にある価値 を見出します。ここで学べることがある、すごく価値のある場所だか ら一緒に活動したい。そう思えるようになるには並大抵のことではあ りません。しかし、それもまた体験がそうさせます。事業を創り上げる までのプロセス、仲間と共に長い時間話し合う、成功するまでやり続 ける そうした体験の積み重ねが経験となり、成長できる集団へと成 熟していきます。オンラインツールを否定する訳では決してありませ ん。自律心をもったメンバーである以上、わざわざ時間を費やし集ま らなくとも、オンライン上で確認できることは、そうすれば良いので す。 ただ、オンラインで繋がっていても、会議ばかりしていても、知多 市に寄与できるような事業は生まれません。頭を動かす以上に体を 動かし、汗をかき、体験をすることを重視する。小さなアイデアをすぐ に行動移すことを大切にします。
50周年の知多青年会議所、個人のアップデートを図ります!
私は、更新することや新しい技術や革新を好みます。従来型の形 式に魂や意図が見えない場合、「これは意味あるのだろうか?」と 思ってしまいます。これに留まらないのが面倒なのですが、一方で尋 ねてみて納得できると一転して大事にできる一面もあります。要はそ こに存在するストーリーなのです。青年会議所活動も、自分軸を大事 にして、それぞれのメンバーが基準や目標を立て、それを実現する ためにPDCA を回す。自分らしくポジティブに活動を面白がることが できればきっと、そのエネルギーは伝播します。 JCメンバーが面白くない筈ないのですから、「こんな面白いことを 知ることができた!」と思える青年会議所活動を目指します。心血を 注いだメンバーによる事業や例会を、おざなりにすることがないよう メンバーの結束力を高めていきます。 面白いものを見たり聞いたりすると、人は当たり前に自分から誰 かに話したくなります。こんな面白いことが起きた、面白い人がいる。 そんなポジティブな繋がりが自然と起きるような中心地として知多 青年会議所は位置付けられるべく、尽力します。これは会員拡大に おける最大のヒントです。
50周年の知多青年会議所、知多市の未来に繋がる事業に取り組みます!!
これまでのすべての欲求が満たされると、最後に残るのが「自己 実現の欲求」です。自己実現の欲求とは、自分にしかできないことを 成し遂げたい、自分らしく生きていきたいという欲求、つまり「夢」あ るいは「目的」です。その夢や目的と現在の自分が一致していないと きは、少しでも理想に近づきたいという欲求が生まれます。 あなたが知多青年会議所に入会した理由は何ですか?また、これ を読んでくださっている市民の皆さんは知多青年会議所とはどんな 団体だと捉えていますか?メンバーの多くは、「人脈をつくりたい」 「同業者同士の繋がりを広げたい」「地域に貢献したい」など何らか の夢や目的をもっています。近年の学校では、そもそも夢がない子 がいるので、「夢をもとう」といった声かけや指導は少なくなっていま す。青年会議所は任意の団体です。何かしらの夢や目的がなければ 入る必要もありません。もう一度尋ねます。あなたが知多青年会議所 に入会した理由は何ですか? 私は、教師になりたいという夢がありました。公言していたら、担任 の先生が「だったら〇〇に進学すると良い」とアドバイスをくれるよ うになりました。友人から「金八」とあだ名を付けられ、退くに退けな い状況となりました。それ以上に、自分自身それを実現したいと思う 強い気持ちをモチベーションにして、行動に移しました。教師から次 の挑戦をするときも、今の仕事に挑戦するときも、夢を語ることが、 実現の第一歩でした。教師になるときは浪人も経験しましたし、教師 を辞めてからの挑戦で、且つ家族と離れての単身赴任という苦い経 験もありますが、そういった苦しみも私を構成する大事なストーリー の一部です。「泣きながらご飯を食べたことがある人は生きていけま す」-大好きなドラマの主人公の台詞です。 私は第50代知多青年会議所理事長として、直接体験を大事にし ながら活動し、多くの人と出会い、自分なりに常に目標をもってポジ ティブに活動することで、知多市に住む人や知多市にかかわる団体 に寄与できる知多青年会議所にすることが夢です。そして同志を一 人でも増やしたいです。これまでの事項を踏まえたら、欲張りになり ました。欲張りなくらいが、ハングリーになれるので、ちょうど良いか もしれません。 周年事業においては、知多市の未来に繋がる事業に取り組みま す。市民の皆さんがわくわくするような、もしくは夢を抱く一助となる 事業に取り組み、明るい豊かな社会を目指す団体として、知多市の にぎわい創出に一役買うような事業に取り組んでまいります。
おわりに
JCらしさとは―、50年受け継がれる伝統とは―、様々なことを考え ると、立ち止まることばかりで身動きが取れなくなりそうになります。 見えないものに押しつぶされそうになると、これまで出会ったメン バーやOBの先輩方の顔が思い浮かびます。その誰しもが、自由に伸 び伸びと、自律して行動することを認めてくださる方ばかりだと気付 くと、何に怯えているのだろうと我に返ることができます。失敗を恐 れず、100年に向けての50年目を進んでいこうと思います。至らぬ点 が多々あるかと思いますが、ご指導ご鞭撻のほど宜しくお願いいた します。